Chat-GPTをはじめ、MidjourneyやMicrosoftのCopilotなど、生成AIはIT業界でも特に注目されている分野です。近年では小説やイラスト、動画や音楽など専門的な知識や技術がなくても誰でも簡単に制作できるようになりました。

AIは人間の知能をコンピューターで実現しようとする広範な概念であり、生成AIは画像、音声、テキストなどを生成するのに特化したAIサービスを指します。

その生成AIが、人間と対話するために必要なものが、LLM(Large Language Model)という技術で、日本語では「大規模言語モデル」と呼ばれています。

LLMは大量のテキストデータを基に訓練され、人間のように自然な文章を生成したり、人間が指示した複雑なタスクを理解して回答することができます。


本記事では、LLMとは何かをわかりやすく解説するとともに、メリットとデメリット、そしてLLMを活用した未来がどうなっていくのかも予想していきます。

LLMの仕組み

LLMは巨大なニューラルネットワークモデルで、大量のテキストデータから言語の法則性を学習します。その学習方法が「教師あり学習」と呼ばれる革新的な手法です。

具体的には、まず膨大な量の書籍、ウェブサイト、論文などのテキストデータを読み込みます。次に、そのデータの一部を入力として与え、モデルに次に来る単語や文章を予測させます。

モデルが予測した結果と、実際のデータとを比較することで、誤差を算出できます。この誤差を小さくするようにモデルのパラメータを調整し、予測精度を向上させていきます。

このプロセスを何十億回、何千億回と繰り返すことで、モデルは言語の法則性を体得していきます。結果として、与えられた文脈から自然な文章を生成したり、言語を理解したりできるようになるのです。

つまり、LLMは大量のデータから言語の知識を体系的に学習し、人間並みの言語能力を備えた知的システムなのです。この仕組みが、LLMの高度な言語処理能力の根源となっています。

徹底的に言語の法則性を体得したLLMは、人間と同じように高度な言語作業を行えるようになります。しかも、人間に対してネガティブな発言をしないように配慮されているため、人間以上にコミュニケーション能力が高い存在になりつつあります。

LLMのメリット

LLMを活用したサービスは、IT業界だけでなく、あらゆる分野に革新をもたらしつつあります。既にさまざまな業界で活用されており、私たちが知らないだけで、実は身近なところで生活を支えています。

コンテンツの作成

LLMは、ニュース記事、ブログコンテンツ、小説、シナリオなど、様々なジャンルで高品質なコンテンツを自動生成できます。また、マーケティングなどの領域では、SEOに最適化された大量の記事をスピーディに量産できるため、業務の大幅な効率化が図れるようになりました。

カスタマーサポートの自動化

企業のカスタマーサポートでも、LLMは大きな成果をあげています。LLMを活用したチャットボットは、定型対応を超えて、高度な問い合わせに対してもパーソナライズされた対応が可能です。膨大な質問に24時間休みなく対応できるうえ、クオリティも人間に近いレベルと言われています。

言語の障壁をなくすブレイクスルー

LLMは翻訳機能に優れており、海外ビジネスをサポートする上で無くてはならない存在になっています。Google翻訳などの機械翻訳サービスはLLMを搭載しており、地球上のほぼ全ての言語に対応した高精度な自動翻訳を実現しています。

このように、LLMの導入は、ビジネスのサポート、企業のコスト削減、顧客満足度の向上など革命的な解決策として期待されています。

LLMのデメリット

一方で、LLMにはいくつかの課題も存在します。人間による倫理観の醸成とルール作りが不可欠であり、安全な利用と持続的な進化のために、現在もその対応が求められています。

開発に膨大なコストかかる

LLMを訓練する際に必要となるコストは途方もなく膨大です。数千億を超えるパラメータを持つ最新モデルを訓練させるには、高性能のコンピューター資源とそれに伴う莫大な電力が必要不可欠です。
こうした研究・開発にかかる巨額の投資ができる企業や研究機関は限られてしまうのが現状です。

学習データの偏りから生まれる問題

LLMには、学習に使われたデータに偏りがあった場合に誤った回答をしてしまうリスクがあります。人種、性別、政治的立場など、学習データに偏りがあれば、LLMの出力からもその偏りが現れてしまう可能性があるのです。

深刻な人権侵害につながる差別的な発言、特定の主義主張の露骨な押し付けなど、倫理に反する事態が起きないよう、偏りを排除するための仕組み作りも求められています。

データ漏洩のリスクとプライバシー保護

LLMは訓練の際、大量の生データを取り扱います。その中には、個人や企業の機密情報も含まれている可能性があります。訓練されたLLMが、そうした機密情報を含むデータを暴露したり、出力に反映させたりすれば、甚大なリスクにつながりかねません。

そのため、LLMを導入する企業は、LLMの安全な利用のためのルール作りが不可欠です。適切なデータクレンジング手順の確立や、セキュリティ対策の徹底などが求められます。

代表的なLLMのサービス3選

代表的なLLMのサービスを3つ紹介します。これらは、どれが優秀という訳でなく、それぞれ異なる特徴を持っており、利用する目的によって使い分けることができます。 

GoogleのBard

Google Bardは、Googleが開発した対話型AIサービスで、LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)という大規模言語モデルを使用しています。このサービスは、ユーザーがチャット形式で質問をすると、AIがビッグデータから自然かつ正確な回答を出力することが特徴です。Google検索と連動しており、最新の情報を取り込んで回答を提供することが可能です。

MicrosoftのCopilot

Microsoft Copilotは、AIを搭載した検索エンジンで、ユーザーの質問に対して詳細な回答を提供することができます。Copilotは、画像や動画の検索が容易であり、初心者でも取り扱いやすいという特徴があります。また、検索結果を豊富に表示し、特に画像や動画の検索に強みを持っています。

OpenAIのChatGPT

ChatGPTは、OpenAIによって開発された対話型AIで、高い言語生成能力を持っています。ChatGPTは、数千億もの単語を学習しており、人間に近い自然な応答をすることができます。また、質問に対するアドバイスやテーマに沿った小説の作成、ソースコードの生成、文章の翻訳、文章の要約などが可能です。
音声入力による対話も可能で、人間と会話するのと遜色ないスピードで同時通訳やディスカッションなど様々なシーンで活用できます。

LLMの未来

LLMは各国でさまざまな研究が進められており、近い未来は私たち人間を凌駕する存在になるかもしれません。

AIが人間の知性を超える転換点を、「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼んでおり、早ければ2030年頃に訪れると予想されています。

しかしそれは、映画ターミネーターに登場する「スカイネット」のようなAIへの恐怖の未来を意味するわけではありません。

ソフトバンクの孫正義氏も、AI同士で対話させて新たなアイデアを生み出す「壁打ち」をしているように、LLMを上手く活用できる人が活躍する社会になっていくでしょう。

その一方で、LLMの恩恵を享受できる人々とそうでない人々の間で、新たな社会的格差が生まれる可能性があります。

技術の進歩に追いつけない人々や、経済的に技術を利用できない人々が取り残されることを防ぐことが課題です。

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