パーソナル人工知能とは、個人のニーズに合わせて学習・成長するAI技術を指します。

その起源は20世紀後半にさかのぼり、近年のディープラーニングの進化によってパーソナル人工知能も大きく進展しています。

本記事ではパーソナル人工知能の全容と、私たちに与える影響や活用事例について詳しく解説します。

パーソナル人工知能とは

「パーソナル人工知能」はP.A.I.(Personal Artificial Intelligence)とも呼ばれ、個別のユーザーのニーズや好みを理解し、それに応じたアクションをとる特化型人工知能です。

つまり、私たち一人一人に「カスタマイズ」されたアシスタントのようなものです。

例えば、デジタル化されたある個人の意思をクラウド上に配置することで、あらゆるデジタル作業をクローンに代替させることができます。

従来のAIとの違いとして、パーソナル人工知能の特長は、テンプレート化された機械的な反応ではなく、個人の人格に近い反応を推測し再現する能力にあります。

また、反応の再現性を高めるために、ある個人のEメールやSNSの情報から、「もし本人ならばどのような反応をするか」を学習し、適切な言葉を選出している点も特徴です。

今後は、コールセンターの業務や故人との会話、またAI同士の対話による複数人とのコミュニケーションなど、多岐にわたる分野での活用が期待されています。

汎用人工知能

汎用人工知能は、その名の通り「汎用的」に様々なタスクをこなすことができるAIです。

人間が持っている一般的な知能と同等の能力を持ち、未知の問題や新しい環境にも適応して対応することが期待されます。

汎用人工知能は理論的には、学習や問題解決、感情の理解など、人間が行うことができるあらゆる知的タスクを実行することができるとされています。

現状、完全な汎用AIはまだ存在しないものの、その到達を目指して多くの研究が進められています。

特化型人工知能

特化型人工知能は、特定のタスクや問題解決の領域に焦点を絞り、その分野での高い再現性を発揮することを目的として設計されます。

現代のAI技術の多くはこちらに分類され、例としては、自動車の自動運転技術、音声アシスタント、画像認識技術などがあります。

特化型人工知能はその設計された範囲内では非常に高い性能を発揮するものの、その範囲外のタスクには適応できません。

パーソナル人工知能は、この特化型人工知能にカテゴライズされます。

パーソナル人工知能がもたらすメリット

具体的に、パーソナル人工知能が私たちの生活でどのように役立つのか、凡例とともに主なメリットを4つ紹介します。

これらのメリットは、パーソナル人工知能が私たちの日常のあらゆる面で、充実した生活が提供できる期待の技術であることが理解できます。

効率的な時間管理

パーソナル人工知能は、ユーザーの日常のスケジュールやタスクを管理し、最適化することができます。

これにより、会議のスケジューリング、旅行の計画、日常のタスクの優先順位付けなど、日常生活での時間管理が効率的になり、全体の生産性が向上します。

健康管理のサポート

パーソナル人工知能は、ユーザーの健康情報や日常の活動データをもとに、カスタマイズされた健康アドバイスやエクササイズプランを提供することも可能です。

これにより、ユーザーは摂取カロリーのアドバイスを受けたり、フィットネス目標を達成するためのサポートを受けられます。

個別化された教育環境

パーソナル人工知能で、ユーザーの学習スタイルや進捗に合わせて、個別の学習リソースやフィードバックを提供することもできます。

例えば、従来のクラス全員が同じカリキュラムを学ぶのではなく、個人の学習ペースや学習方法に合わせた最適な教育環境が実現できます。

エンターテインメントのレコメンド

ユーザーの好みや過去の行動を基に、パーソナル人工知能はおすすめの音楽、映画、書籍などを提案します。

このようなカスタマイズされたエンターテインメントの提供により、ユーザーは自分の好みに合ったコンテンツを楽しむことができます。

パーソナル人工知能の導入事例

パーソナル人工知能は様々な分野での活用が見込まれますが、実際に国内外でパーソナル人工知能をサービスとして提供している代表的なプロダクトを3つ紹介します。

altBRAIN(株式会社オルツ)

株式会社オルツが開発した「altBRAIN(オルツブレイン)」は、新時代のノーコードエージェント生成プラットフォームとして注目を集めています。

このプラットフォームは、大規模言語モデル「LHTM-2」を基盤としており、エージェントと呼ばれる人間の代行として動作するソフトウェアを簡単に作成できるのが特徴です。

例えば、織田信長や著名人のキャラクター、ゲーム攻略エージェント、医療の問診エージェントなど、多岐にわたるエージェントをノーコードで容易に生成することが可能です。

さらに、LINEやSlack、Discordなどの多様なプラットフォーム上でエージェントを自動生成する機能も搭載しています。

このプラットフォームは、コミュニケーション領域での新しい可能性を追求することができるとともに、エンターテインメントから企業のFAQまで、幅広い用途での利用が期待されています。

SENSY(SENSY株式会社)

SENSY株式会社は、革新的なAI技術を駆使して、人の「感性」を学習・解析するサービス「SENSY」を提供しています。

このサービスの背景には、人がさまざまな刺激や情報にどのように反応し、それに伴ってどのような感情や行動が生じるのかを深く理解し、その知見をビジネスやマーケティングの現場で活用するという思想があります。

SENSYの技術の特徴は、自然言語処理や画像解析技術をベースにしたディープラーニング技術を活用している点です。

例えば、ファッションや食品、美容、健康食品、旅行などのライフスタイルに関連する領域で、顧客の購買履歴や行動データを基に、最適な商品やサービスをレコメンドするエンジンや、接客戦略を最適化するエンジンなどのサービスを提供しています。

SENSY株式会社の主力サービスには、「SENSY MB」と「SENSY MD」という2つのサービスがあり、SENSY MBは、顧客の属性や購買履歴を元に、AIが分析・最適化を行い、ダイレクトメールやアプリ情報の配信などのマーケティング活動を効果的に行うサービスです。

一方、SENSY MDは、商品の売り上げを顧客単位やアイテム単位で予測し、商品発注や仕入の計画を最適化するサービスとして提供されています。

これにより、小売業者は在庫の最適化や生産計画のサポートを受けることができます。

Pi(Inflection AI)

Inflection AIは、2022年にReid Hoffman、Mustafa Suleyman、Karén Simonyanによって設立されたカリフォルニア州パロアルトを拠点とする機械学習のスタートアップです。

設立からわずか1年で、MicrosoftやNVIDIAから13億米ドルの資金調達を成功させ、企業価値は40億ドルに達しています。

この急成長の背景には、共同設立者としてDeepMindのMustafa SuleymanやLinkedInのReid Hoffmanが名を連ねていることが挙げられます。

Inflection AIが開発したチャットボット「Pi」は、Personal Intelligenceの略で、人々の個別の興味やニーズに基づく無限の知識を提供する対話型AIサービスです。

このサービスは、ChatGPTのようなチャットボットAIがタスクの実行や質問への回答を行うことに加え、より深い意味での対話を提供することを目指しています。

Piは、ユーザーの趣味や興味、感情などに対応し、対話を通じて学び、ユーザーの関心に最適化するように設計されています。無料で利用でき、Webやモバイル、ソーシャルメディアやWhatsAppを通じてPiにアクセスできるため、どこでもいつでも会話を続けることが可能です。

まとめ

近年のAIの発展に伴い、パーソナル人工知能は、個人の好みやニーズに合わせてカスタマイズされるAIとして、日常生活のサポートからビジネスの最適化まで、幅広く活用されることが期待されています。

特に、スマートホームやウェアラブルデバイスとの連携により、生活の質が向上することや、ビジネスにおける顧客対応の最適化が期待されています。

しかし、その普及に伴って、データの取り扱いやプライバシーの保護、AIの判断に関する倫理的な問題が浮上しており、これらの課題に対する適切な対応が必要とされています。

これらの課題を乗り越えれば、パーソナル人工知能は、さまざまな分野で新しい価値を生み出す可能性があり、私たちの生活をより豊かにし、新しい時代の扉を開く鍵となるでしょう。

フリーランコンサルタントとして活躍するなら

『これからフリーランス』を運営する株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングは独立系のSIであり、BTCエージェントforコンサルタントというサービスを展開しています。

本サービスでは、案件紹介だけではなくキャリアアップや単価相談などフォローアップが充実していますので、是非一度ご相談いただければと思います。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: バナー_コンサルタント.png