労働者を守る法律に「労働基準法」があります。一人でも労働者を抱える会社(雇用主)は、この労働基準法を守らなければいけません。2019年4月に「働き方改革関連法」が施行されたこともあり、労働者の働き方の改善については近年とても注目されています。

しかし、フリーランスという職種において、この労働基準法は適用されません。では、フリーランスを守ってくれる法律は何もないのかと心配になる方もいるかと思います。

今回はフリーランスと労働者の違いや、フリーランスを守る法律の解説働くうえで気を付けたほうがいいポイントの3点をご紹介します。

労働基準法とは?

労働基準法とは、1947年に制定された法律です。日本国憲法第27条第2項の規定に基づき、労働条件に関する最低基準を定めています。主な内容としては、下記がございます。

  • 賃金の支払いの原則…直接払、通貨払、金額払、毎月払、一定期日払
  • 労働時間の原則…1週40時間、1日8時間
  • 時間外・休日労働…労使協定の締結
  • 割増賃金…時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上
  • 解雇予告…労働者を解雇しようとするときは30日以上前の予告または30日分以上の平均賃金の支払
  • 有期労働契約…・原則3年、専門的労働者は5年

(出典)厚生労働省 労働基準に関する制度 労働基準行政の主な法制度より

この他、年次有給休暇、就業規則などについて規定しています。

このように、賃金や就業時間などについて、労働者を守るために定められている労働基準法ですが、先ほども述べたようにフリーランスの方には適用されません。ここでいう「労働者」という定義の中に、フリーランスは入っていないからです。

労働者の定義

一般的に労働者とは業務に従事している人のことを指しますが、労働基準法の対象となる労働者は、「会社の指揮監督下で従事し、賃金が支払われるもの」となります。会社と雇用契約を結んでいる社員などがここにあたります。フリーランスは自立した存在なので、労働基準法でいう労働者の対象とはならないのです。

フリーランスと労働者の違い

そもそもフリーランスは、会社という組織に所属していないので、労働基準法を守るも守らないも自分の匙加減となります。就業時間も固定で決まっておらず、休日の決め方も自由です。対して労働者は、就業規則によって就業時間や休日日数も会社に定められており、残業をした場合は別途残業代を支払われる仕組みとなっています。これを会社側が、過度に働かせたり、残業代を支払わないということが起こると、労働基準法に違反する、ということになります。フリーランスと労働者の違いは、この就業規則に則って業務をしているか、という点になります。

フリーランスの契約

ここで気を付けなければいけないのが、フリーランスがクライアントとどのような契約を結んでいるかとなります。労働基準法が適用されない以上、クライアントと結ぶ契約で自分を守る必要があります。基本契約書や発注書について、自分の不利益になるようなことが書いていないか細かくチェックをしましょう。業務上トラブルがあった場合の対応は基本的には契約書に準ずるので、納得ができる契約となるように確認することが大切です。

フリーランスの契約書については下記にもまとめてあるので、参考にしてみてください。

ただし、準委任契約の場合、労働基準法でいう労働者の対象となる可能性があります。準委任契約は請負契約とは違い、業務の遂行を目的としているため、業務遂行の中でクライアントから過剰な指示や、細かいルールを適用される場合、「労働者性」があると判断される可能性があります。本来、発注者が委託者に対し、就業時間や服装など指定することは認められないため、このように過剰な指示があった場合は労働基準法が適用される可能性があることを認識しておきましょう。

フリーランスを守る法とは?

労働基準法が適用されていないフリーランスにとって、契約書の内容がとても大切と説明いたしましたが、発注者と受注者という関係性において、どうしてもクライアントのほう立場が上という意識があり、契約書の内容について強く言えないという場合もあるかと思います。また、契約を締結するのが初めてという場合など、契約内容を見慣れていないという方は不利益な契約をさせられているということも気づきにくいかもしれません。そのような場合、フリーランスを守る法律も存在します。

独占禁止法

クライアントが「事業者」であれば、フリーランスとの取引で適用されます。取引において、フリーランスより優越的な立場にいるクライアントが、フリーランスに不当な不利益を与えることは、この独占禁止法において規制されています。このようなクライアントの立場を「優越的地位」と称し、取引においてこの地位を乱用することを防ぐ法律となります。

例えば、受注した案件において役務提供をしていくなかで知り得た情報や、技術、顧客情報などの秘密を漏洩しないことを約束する「秘密保持義務」や、契約終了後にクライアントと競合する事業者とは一定期間役務提供を行うことを禁止する「競業避止義務」というものがあります。契約内容と照らし合わせて合理的な範囲で上記の義務を締結することは問題ありませんが、義務の内容が契約内容に対し過大である場合や、フリーランスにもたらす不利益の具合によって、独占禁止法に当たる可能性があります。

また、契約終了後の再契約をフリーランスが拒否した場合に、他の事業者と取引できないように不当に報酬の支払いを遅らせたり、他の事業者に悪評を流すなどという行為も過剰な「専属義務」とし、独占禁止法の対象となります。

クライアントとフリーランスは、あくまで対等な関係であるということを念頭におき、契約内容を確認しておく必要があります。

下請法

下請法(正式名称:下請代金支払遅延防止法)も、優越的地位にある発注者から不当な不利益を被らないように、フリーランスや小規模企業といった下請事業者を守る法律となっています。下請取引の公正化のため、独占禁止法を補完する法律として制定されました。

先程の独占禁止法は、クライアントが「事業者」であれば適用範囲でしたが、下請法の対象となるには、発注者と下請事業者の資本金で見ていく必要があります。


(1)物品の製造委託・修理委託、プログラム作成委託、役務提供委託

クライアント(発注者)下請事業者(フリーランス、小規模企業)
資本金3億円超資本金3億円以下
資本金1千万~3億円以下資本金1千万以下

(2)上記以外の情報成果物作成委託、役務提供委託(商品デザイン、設計図面など)

クライアント(発注者)下請事業者(フリーランス、小規模企業)
資本金5千万円超資本金5億円以下
資本金1千万~5千万円以下資本金1千万以下

上記の様に、基本的には資本金が1千万円以下のフリーランスは下請法の対象となります。

この下請法によって、クライアントは4つの義務を遵守する必要があります。

書面の交付義務

下請事業者と取引をする際は、発注書や契約書といった形で書面上の契約を締結することが義務付けられています。また、発注に際し、下記の事項が具体的に書かれていなければいけません。これを「3条書面」といいます。

【必須項目】

  • クライアントと受注者の名称
  • 業務委託期間
  • 下請事業者の給付内容(役務委託の場合は役務内容)
  • 下請事業者の給付を受領する日(納期)
  • 下請事業者の給付を受領する場所
  • 検査を行う場合は、検査完了日
  • 下請代金の金額、また精算がある場合は精算方法
  • 下請代金の支払い期日
  • 手形の交付がある場合は手形の金額及び満期
  • 一括決済方式の場合は、金融機関名、貸付または支払い可能額
  • 電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額と満期日
  • 原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、決済方法

支払い期日を定める義務

発注者は下請事業者の給付の内容について検査するかを問わず、物品を受領した日(役務提供であれば、役務提供の日付)から起算して60日以内で可能な限り早い期間内に支払を行わなければいけません。

書類の作成・保存義務

発注者は納品、または検収後2年間、下請事業者との取引に関する書類を作成、保存しておく必要があります。

遅延利息の支払い義務

発注者が支払期日までに金額の支払いを行わなかった場合、下請事業者に対して遅延利息を支払わなければいけません。具体的には、物品を受領した日または役務提供をした日から起算して60日を経過した日~実際に支払いが行われる日までの期間、その日数に応じて未払い額に年率14.6%を乗じた金額を支払う必要があります。

このように、労働基準法が適用されていなくても、フリーランスを守る法律は存在しています。契約書を確認する際は独占禁止法や下請法に違反した内容になっていないかも念頭において確認するようにしましょう。

まとめ

今回はフリーランスと労働基準法についてご紹介しました。フリーランスは企業にとってもとても重宝すべき存在ですが、実際にはいいように使われてしまっていた過去もあります。クライアントとの関係性においてどうしても優越的地位に立たれてしまい、一方的な契約を押し付けられるという問題が指摘されてきました。フリーランスは、組織に守られていない弱い立場でありながら、労働基準法でいう労働者の対象とされていないことにより、制度的な保護は難しい状況だったのです。現在は、フリーランスという働き方を選択する人が多くなってきたこともあり、独占禁止法や下請法といったフリーランスを守る法律がありますが、知らないままだと不当を受けていたとしても弱い立場のままです。フリーランスとして働いている方、働きたいと考えている方は、自分自身を守るためにもどのような法律があるのかしっかりと把握しておくことが大切です。

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