ネットワークはビジネスに不可欠な要素で、コンピューターやデバイスがスムーズに通信するための土台を提供します。
しかし、企業が独自にネットワークを構築し、運営することは、高いコストと時間が必要とされます。さらに、この方法では、柔軟性や拡張性を確保するのが難しいことがあります。
こうした問題を解決するために、最近注目されているのが「NaaS (Network as a Service)」です。
では、NaaSとは具体的にどのようなサービスなのでしょうか?また、よく耳にするIaaS(Infrastructure as a Service)、SaaS (Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)との違いとは何でしょうか?
本記事では、NaaSの基本的な概念とそのメリット、さらに他のクラウドサービスとの違いについて詳しく解説します。ネットワーク管理の効率化を目指しているビジネスオーナーやIT担当者は必見です。
NaaSとは
NaaS(Network as a Service)は、クラウドサービスの一種で、ネットワークインフラを提供し、ユーザーがサブスクリプションで利用できるサービスです。
プロバイダは、ネットワーク機器の保守やリモート管理といったサポート業務も担うため、企業は自社のネットワークインフラストラクチャを維持することなく、自社のネットワークを運用することができます。
また、NaaSは、ネットワークの変更や拡張がしやすいサービスで、ネットワーク機器をリース利用するため、ネットワークを変更する際はプロバイダに依頼するだけで完結します。
NaaSの特徴とビジネスへのメリット
- スケーラビリティ
NaaSは、ビジネスの成長に合わせてネットワーク容量を柔軟に調整できます。需要の変動に応じて容易にスケールアップまたはダウンすることが可能で、これによりITリソースの最適化が実現します。
- コスト効率
物理的なネットワーク機器の購入や維持コストが不要になり、初期投資が大幅に削減されます。また、運用に必要な人件費も低減でき、全体的なITコストの削減に貢献します。
- 柔軟性
NaaSは、ネットワークの設定を容易に変更でき、新しいサービスやアプリケーションの追加も簡単に行えます。
- セキュリティ
NaaSプロバイダは、ネットワークのセキュリティを維持するための専門知識とリソースを持っています。これにより、企業は自社のネットワークセキュリティを強化することができます。
NaaSの種類
VPN as a Service (VaaS)
VaaSは、仮想プライベートネットワーク(VPN)をクラウドサービスとして提供するものです。SSLなどの暗号化技術によって、インターネットなどの公衆回線を、仮想的な専用回線として安全に利用するための技術です。
拠点間のネットワーク接続に利用されていることが多く、専用線より非常に低価格で利用できることがメリットです。
Firewall as a Service (FWaaS)
FWaaSは、企業ネットワークとパブリックインターネットとの間に位置し、複数のフィルタリングとセキュリティ対策により、企業のアーキテクチャをサイバー攻撃から保護し、脅威がネットワークに侵入するのを防ぎます。
通常のファイアウォールは物理的なネットワーク境界に設置されますが、FWaaSはこれをインターネット上のクラウドサービスとして提供したもので、利用者は外部と通信する際に必ずFWaaSを経由するよう機器を設定します。
DDoS Mitigation as a Service (DMaaS)
DMaaSは、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃からネットワークを保護するサービスです。DDoS攻撃は、大量のトラフィックを送信してサーバーやネットワーク機器へのアクセスを専有し、アクセスできないようにする攻撃です。
DMaaSは、これらの攻撃を検出し、軽減し、最終的には防ぐための戦略を提供します。
NaaSの活用事例
テレワークのサポート
テレワークの普及により、社外から社内システムへの接続や、外部クラウドサービスへの接続が増えています。
NaaSを利用することで、これらのトラフィックが一箇所に集まり、帯域がひっ迫しパフォーマンスが低下するという問題を解決できます。
ハイブリッド・マルチクラウド環境のサポート
社内システムについても、オンプレミスとクラウド環境を併用するハイブリッドクラウドや、複数のクラウド事業者を併用するマルチクラウドといった構成を採用する企業が増えています。
NaaSを利用することで、これらのクラウド間連携を実現するネットワークを構築し、通信状況の可視化や、通信機器やトラフィックの増減に対応できるスケーラビリティが求められるようになりました。
レガシーシステムとの互換性
NaaSベンダーのインフラストラクチャは、古いハードウェアやオンプレミスベースのアプリケーションなど、未だ存在しているレガシーシステムとの互換性がない場合があります。
しかし、NaaSを利用することで、これらのシステムとの互換性を確保しつつ、新しいネットワーク技術を導入することが可能になります。
セキュリティの強化
NaaSの場合、単一のプロバイダーがネットワークサービスとファイアウォールなどのセキュリティサービスの両方を提供することが可能です。
これにより、企業は自社でセキュリティ対策を行う必要がなく、より強固なセキュリティを確保することができます。
IaaS、SaaS、PaaSとの違い
クラウドコンピューティングの世界には、IaaS、PaaS、SaaSという名称の似ているサービスモデルが存在しますが、これらの違いについても理解しておきましょう。
IaaS(Infrastructure as a Service)
サーバーやストレージ、ネットワークなどのハードウェアやインフラをインターネット経由で提供するサービスです。ユーザーは自身のアプリケーションをデプロイし、運用することができます。
PaaS(Platform as a Service)
アプリケーション開発に必要な実行環境を提供するサービスです。開発者はコードを記述することに専念することが可能で、アプリケーションのコードを実行するのに必要な言語のランタイムや、データベースなどのミドルウェアをサービスとして提供します。
SaaS(Software as a Service)
ソフトウェアやアプリケーションの機能をサービスとしてネットワーク経由で提供するモデルです。ユーザーはWebブラウザやプログラミングインターフェースを通してアクセスすることで利用します。
まとめ
NaaS(Network as a Service)は、ビジネスにとって革新的なクラウドコンピューティングサービスです。このサービスは、ネットワークインフラを自ら構築、運営する代わりに、クラウドベースのサービスとして利用することを可能にします。
NaaSの導入により、企業は高いコストや時間を要する従来のネットワーク管理から解放され、より柔軟かつ効率的な運用を実現できるでしょう。
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