フリーランスとして働くことは、自由な働き方を選ぶ一方で、税金の管理も必要となります。

特に、確定申告はフリーランスにとって重要な業務の一つであり、事業をしながら確定申告に必要な書類を作成するのは大変なイメージを持つ方も多いでしょう。

この記事では、そのような不安を払拭すべく、白色申告と青空申告の違いや、e-taxを利用した方法まで、フリーランスの確定申告について詳しく解説します。

フリーランスの確定申告とは

フリーランスの確定申告は、個人事業主としての収入と支出を国に報告し、所得税を計算・納付するための手続きです。確定申告を行うことで、適切な税金を納付し、法令遵守を図ることができます。

確定申告の必要性

フリーランスは、自分の収入を自己申告する形で税金を納付します。

そのため、確定申告を怠ると、税金の不足分に対して過少申告加算税が課される可能性があります。

また、確定申告を行うことで、経費を正しく計算し、適切な税額を納付することができます。

確定申告を怠った場合のペナルティ

確定申告をしないと、以下のようなペナルティが発生する可能性があるため注意が必要です。

1.無申告加算税

確定申告をしなかった場合、本来納めるべき税金に対して無申告加算税が課されます。

無申告加算税の税率は、本来納付すべき税額によって決定します。
例えば、本来の納税額が50万円未満の場合は15%、50万円を超える場合は20%となります。

2.延滞税

確定申告の期限が過ぎてから税金を納付した場合、延滞税が発生します。

延滞税は、法定納期限の翌日から納付するまでの日数に応じて、利息分に相当する税金が追加で課されます。

3.重加算税

故意に確定申告をしなかった場合、重加算税が課される可能性があります。

これは、故意に脱税をした場合に「5年以下の懲役もしくは最大500万円以下の罰金、または、その両方」が課されるというものです。

以上のように、確定申告をしないと税金が増えるだけでなく、行政サービスや社会保険料などの減免、ローン契約が組めなくなるなどのデメリットが発生する恐れがあります。

確定申告の義務がある人は必ず期限内に申告し、万が一申告期限が過ぎてしまった場合は、一日でも早く対応しましょう。

確定申告をしなくても良い主なケース

一方、確定申告をしなくても良いケースもあります。以下に主なケースを紹介しますので、確定申告をする必要があるかチェックしてみてください。

1.所得が基礎控除以下

所得が基礎控除額(2023年時点で48万円)以下の場合、確定申告は不要です。

ただし、所得控除があったり源泉徴収の対象であったりする場合には確定申告をすることで、納めすぎた税金が還付される可能性もあります。

2.給与所得者

会社員の場合、通常は会社が年末調整という形で従業員の代わりに所得税の申告・納税を行うため、個人で確定申告をする必要がありません。

ただし、副業をしていて会社以外にも一定の収入がある場合や、その年の給与所得が2,000万円を超える場合は、確定申告が必要です。

3.公的年金受給者

「公的年金等の収入金額が400万円以下」、「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」の両方に該当する場合は確定申告は不要です。

4.特定口座での取引

株や投資信託などの取引において、源泉徴収のある特定口座で取引をしている場合は、確定申告の必要はありません。

確定申告の手続き

確定申告の手続きは、大まかに以下のステップで行います。

STEP1収入の計算フリーランスとして得た収入を計算します。これには、売上、仕事の報酬、賞金などが含まれます。
STEP2経費の計算仕事に関連する経費を計算します。これには、交通費、通信費、機材費などが含まれます。
STEP3所得の計算収入から経費を引いたものが所得となります。これが課税対象となります。
STEP4税金の計算所得に対する税金を計算します。税率は所得により異なります。
STEP5申告書の作成・提出上記の計算結果をもとに、確定申告書を作成し、税務署に提出します。

また、確定申告に必要な書類は以下のようなものがあります。

ただし、個々の事業主の状況により、必要な書類は異なる場合があります。

具体的な書類の詳細や、どの書類が必要かは、国税庁のウェブサイトや税務署で確認することをお勧めします。

1.確定申告書

所得税、消費税及び贈与税の申告書や青色申告決算書・収支内訳書等を作成します。

2.本人確認書類

マイナンバーカードや通知カード、個人番号が記載された住民票など、マイナンバーが記載された本人確認書類が必要です。

3.所得金額がわかるもの

所得金額に関する添付書類、青色申告決算書、事業所得の内訳を記載している収支内訳書などが必要です。

4.各種控除申請に必要な書類

医療費控除の明細書、寄付金控除を証明する書類などが必要です。

5.銀行口座がわかるもの

所得税が還付される場合は確定申告書に銀行口座を記載する必要があります。

これには、銀行名、支店名、口座番号、口座名義が必要です。

確定申告の注意点

確定申告には以下のような注意点があります。

レシートや領収書の保存

経費を計算する際には、レシートや領収書が必要となります。

これらは税務署からの確認があった場合に証拠となるため、大切に保管しておきましょう。

確定申告の期限

確定申告には期限があります。期限を過ぎると、遅延税が課される可能性があります。

確定申告の提出期間は毎年2月16日から3月15日までです。

ただし、期限が土曜日、日曜日、国民の祝日、休日にあたる場合は、翌日(または翌々日)の月曜日が期限日になります。

また、消費税の確定申告期間は翌年の1月1日から3月31日までです。

期限を過ぎてしまった場合は、税務署に申請する必要がありますが、納税できそうな場合は納税をしてから申請することがおすすめです。

専門家の利用

確定申告は労力の掛かる作業であるため、必要に応じて税理士などの専門家に相談することも有効です。

白色申告と青色申告の違い

白色申告とは、個人事業主が所得税の確定申告をする際に、青色申告以外で申告することを指します。

税制上のメリットが少ない代わりに、比較的簡易な方法で帳簿を記載し、その記帳に基づき所得税又は法人税を計算して申告することです。

白色申告は収入と支出のみを計上する「単式簿記」によって記帳を行います。

一方、青色申告制度は、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする方について、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度です。

白色申告と青色申告の主な違いは以下の通りです。

税制

青色申告は、要件を満たし、青色申告の承認を得た場合に税制上の優遇措置を受けることができる申告納税制度です。一方、白色申告は青色申告の承認を受けていない人が行う申告納税制度です。

申請の有無

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」と「開業届」を所管の税務署に提出する必要があります。一方、白色申告の場合には、事前の申請手続きは不要です。

提出書類、保存帳簿・書類の違い

青色申告では、原則として複式簿記で帳簿をつけることが義務付けられています。

確定申告の際には総勘定元帳をもとに、「損益計算書」と「貸借対照表」を作成し、確定申告書や青色申告決算書、控除を証明する書類とともに提出します。

これに対して、白色申告は簡易帳簿でよいとされ、複式帳簿の作成と比べて帳簿つけが比較的簡単です。

確定申告の際も、確定申告書と収支内訳書、控除を証明する書類の提出で済みます。

以上の違いから、白色申告は申告のための経理作業が青色申告よりもシンプルで済む代わりに、節税のメリットが少ないと言えます。

それに対して、青色申告は白色申告より厳密な会計帳簿が求められ、提出する書類の作成に簿記の知識が必要ですが、節税のメリットが多いと言えます。

自宅でe-Taxを使って確定申告を行う方法

パソコンがある場合は、e-Taxを使うと自宅で簡単に確定申告を行うことができます。

e-Taxを利用して確定申告を行うための手順を解説していきます。

1. 利用者識別番号の取得

まず、e-Taxを利用するためには、利用者識別番号が必要です。これは、国税庁のウェブサイトから取得できます。

2.電子証明書の取得

次に、電子証明書を取得します。これは、申告等データを送信する際に、そのデータについて、利用者の方本人が作成し、改ざんされていないことを確認するため、電子署名を行うために必要です。

3.確定申告書の作成

国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用して、所得税、消費税及び贈与税の申告書や青色申告決算書・収支内訳書等を作成します。

画面の案内に従って金額等を入力するだけで、申告書の作成が完結します。

4.申告書の提出

作成した申告書をe-Taxにより税務署に提出します。

まとめ

確定申告は複雑に感じるかもしれませんが、適切に行うことで法令遵守を図り、税金の負担を適正化することができます。

また、確定申告を通じて自身の経済状況を把握することは、フリーランスとしてのビジネス運営にも役立ちます。

収入と支出を把握することで、効率的な経営計画を立てることができますし、経費の計上方法を熟知することで、節税の手段として活用することもできます。

最終的には、確定申告を通じて自己の財務状況を管理し、ビジネスの成長につなげていくことが重要です。定期的な確定申告を通じて、安定した経営を目指しましょう。

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