AI(人工知能)は、人間の知能を人工的に再現し、さまざまな判断や振る舞いを可能にするシステムです。

AIは膨大な量のデータを学習し、それに基づいて推論を行います。

そのためには大容量かつ処理能力の高いコンピューターが必要となりますが、そのコンピューターの設置場所や役割によって、エッジAIとクラウドAIという2つのタイプに分けることができます。

エッジAIとは

エッジAIとは、ユーザーに近い位置、具体的にはエッジデバイスや同一ネットワーク内にAI処理用のシステムを設置し、現場で学習や推論を行う技術のことを指します。

エッジデバイスとは、スマートフォンやタブレット、スマートウォッチなどのモバイル端末や、自動車や産業用ロボットなどの組み込み端末のことです。

エッジAIのメリット・デメリット

エッジAIのメリットは以下の通りです。

  • リアルタイム性:エッジデバイスで推論を行うため、インターネット経由でクラウドにデータを送信する時間が省けます。これにより、即応性やセキュリティを高めることができます。
  • 通信コスト:エッジデバイスで推論を行うため、通信量が少なくて済みます。これにより、通信コストやネットワーク負荷を削減することができます。
  • プライバシー:エッジデバイスで推論を行うため、個人情報や機密情報などのデータをクラウドに送信する必要がありません。これにより、プライバシー保護や法規制への対応が容易になります。

エッジAIのデメリットは以下の通りです。

  • 処理能力:エッジデバイスはクラウドサーバーに比べて処理能力が低いため、高度な計算や判断が難しい場合があります。
  • 学習効率:エッジデバイスはクラウドサーバーに比べて学習用のデータ量が少ないため、学習効率が低い場合があります。
  • 管理負担:エッジデバイスは多数存在する可能性があるため、それぞれの更新や保守などの管理負担が大きくなる場合があります。

クラウドAIとは

クラウドAIとは、インターネット経由でアクセスできるクラウドサーバー上で学習や推論を行うAIのことです。

クラウドサービスでは、ユーザーがインターネット経由でサービスを利用する形態となります。

クラウドAIのメリット・デメリット

クラウドAIのメリットは以下の通りです。

  • 処理能力:クラウドサーバーはエッジデバイスに比べて処理能力が高いため、高度な計算や判断が可能です。
  • 学習効率:クラウドサーバーはエッジデバイスに比べて学習用のデータ量が多いため、学習効率が高いです。
  • 管理負担:クラウドサーバーはサービス提供者が管理するため、ユーザーは管理負担が少ないです。

クラウドAIのデメリットは以下の通りです。

  • リアルタイム性:クラウドサーバーにデータを送信するためにインターネットを経由する必要があるため、遅延や障害などのリスクがあります。
  • 通信コスト:クラウドサーバーにデータを送信するために通信量が多くなるため、通信コストやネットワーク負荷が増加する可能性があります。
  • プライバシー:クラウドサーバーにデータを送信するためにプライバシー保護や法規制への対応が必要になる場合があります。

エッジAIとクラウドAIの違い

エッジAIとクラウドAIの違いは、主に以下の2点です。

  • 学習・推論を行う場所:エッジAIはエッジデバイスで学習・推論を行いますが、クラウドAIはクラウドサーバーで学習・推論を行います。
  • リアルタイム性と処理能力のトレードオフ:エッジAIはリアルタイム性が高いですが、処理能力が低いです。クラウドAIは処理能力が高いですが、リアルタイム性が低いです。

エッジAIを提供する企業・サービス

エッジAIを提供する企業やサービスは、さまざまな分野で活用されています。

ここでは、その中からいくつかの例を紹介します。

AWS IoT Greengrass

AWS IoT Greengrassは、AWSのクラウドサービスであるAmazon Web Services(AWS)が提供するエッジAIプラットフォームです。

AWS IoT Greengrassは、エッジデバイスでAWS Lambda関数や機械学習モデルを実行できるようにします。

AWS IoT Greengrassは、農業、医療、工業、スマートシティなどの分野で利用されています。

Google Coral

Google Coralは、Googleが提供するエッジAI製品やツールのブランド名です。

Google Coralは、TensorFlow Liteという軽量な機械学習フレームワークを利用して、エッジデバイスで高速に機械学習を実行できるようにします。

Google Coralは、カメラやセンサーなどのハードウェアや、開発者向けのソフトウェアキットなどを提供しています。

Google Coralは、教育、環境保護、小売、交通などの分野で利用されています。

Microsoft Azure IoT Edge

Microsoft Azure IoT Edgeは、MicrosoftのクラウドサービスであるMicrosoft Azureが提供するエッジAIプラットフォームです。

エッジデバイスでAzureのサービスやカスタムロジックを実行できるようにします。

また、Azure Machine LearningやAzure Cognitive Servicesなどの機械学習や画像認識などのAIサービスをエッジで利用できます。

Microsoft Azure IoT Edgeは、製造業、エネルギー業、建設業などの分野で利用されています。

このように、エッジAIは今後もさらに発展し、多くの分野で革新的なソリューションを生み出すと期待されています。

エッジAIの活用事例

エッジAIは、リアルタイム性やセキュリティなどが重要なシーンで活用されています。

ここでは、エッジAIを活用した5つの事例を紹介します。

自動運転技術

自動運転技術では、カメラやレーダーなどのセンサーから得られる情報をエッジデバイスで処理し、周囲の状況を認識し、適切な制御を行います。

エッジAIを利用することで、インターネットに依存せずに安全かつ快適な自動運転を実現できます。

顔認証システム

顔認証システムでは、カメラで撮影した顔画像をエッジデバイスで処理し、登録された顔と照合します。

エッジAIを利用することで、インターネットに接続されていなくても顔認証が可能になります。

また、個人情報である顔画像をクラウドに送信しないことで、プライバシーの保護にも貢献します。

スマートファクトリー

スマートファクトリーでは、工場内の機器やセンサーから得られるデータをエッジデバイスで処理し、品質管理や故障予測などの最適化を行います。

エッジAIを利用することで、インターネットの遅延や障害に影響されずに、効率的かつ安定的な生産活動を実現できます。

ドローン

ドローンでは、カメラやGPSなどのセンサーから得られる情報をエッジデバイスで処理し、飛行制御や障害物回避などの機能を実現します。

エッジAIを利用することで、インターネットの通信範囲や品質に制限されずに、自律的かつ安全なドローンの運用が可能になります。 

音声アシスタント

音声アシスタントでは、マイクで録音した音声をエッジデバイスで処理し、音声認識や自然言語理解などの機能を実現します。

エッジAIを利用することで、インターネットに接続されていなくても音声アシスタントが利用できます。

また、個人情報である音声データをクラウドに送信しないことで、プライバシーの保護にも貢献します。 

まとめ

エッジAIとは、エッジデバイスでAI処理を行う技術です。

エッジAIは、クラウドAIと比較して、リアルタイム性やセキュリティなどの面で優れています。

エッジAIは、自動運転技術や顔認証システムなど、様々な分野で活用されており、今後もさらに発展し、私たちの生活を便利にするための技術として広がっていくでしょう。

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