今回はフリーランスエンジニアからPMOへのキャリアップしたい方向けに、その方法やノウハウを現場の声を元に記事にしました。今回お話を伺ったのは元大手Sier出身の若手PMOの佐田美樹(仮名)さんです。
現在はフリーランスとしてご活躍されています。
エンジニアからPMOへチャレンジしたい方は是非ご一読ください。インタビュアーは佐々木が担当しています。

■プロフィール

インタビューされるPMO(女性)の写真

氏名:佐田美樹(仮名)28歳女性
大学:私立 国際教養学部
職務経歴:元大手SIにて官公庁のプロジェクトに1年半ほどエンジニアとして従事、後にアパレルや小売のECサイト、基幹システムの構築に約3年程携わる。その3年間メンバーとして評価され、その後の半年は化粧品会社の基幹システムのリニューアルプロジェクトでPLとして活躍する。
2019年からフリーランスへ転身。現在は小売企業の基幹システム構築プロジェクトにてPMOとして従事する。

PMO(Project Management Office)とは何か

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佐田さんいつもお世話になります。今回はフリーランスになってからキャリアップされた佐田さんがどのようにPMOになれたのかお伺いしたいと思います。
会社によって定義も違うと思うのですが、佐田さん自身が思うもしくは現在佐田さんの担っているPMOの役割をまずはお聞かせいただけますか。

佐田さん佐田さん

いつもお世話になります。本日はよろしくお願いいたします。
一般的に言えばPMO(Project Management Office)は、PMの意思決定の材料となる情報の収集・分析や、クライアントや各ベンダーとの調整など、PMの補佐としてプロジェクトを円滑に進めるためのマネジメント業務を担う役割だと思っています。 プロジェクトの規模が大きくなると、要件定義・設計・API開発・画面開発・インフラなどの作業ごとに複数のチームにメンバーが細分化され、プロジェクト全体で見た時に各チームの進捗状況や課題がすぐ把握できるよう、管理方法の標準化や管理のサポートをします。
PMOと言っても責任範囲は案件や担当者の経験値によってさまざまですが、私の場合は社内のチームの状況をヒアリングし、リスクの時点でPMに報告するといったことをしています。 現在自分が所属しているプロジェクトは比較的規模が大きく、元請さん、オフショアメンバーやパートナー合わせて50名を超えるメンバーが参画しています。
全体の状況をPM一人では把握しきれないため、PMOとしてリーダー陣の進捗確認(おしりをたたく感じ笑)や、クライアントとの週次報告資料を作成する他、開発チームのリーダーに代わってメンバーとコミュニケーションを取り、タスクの終了予定と実績やリカバリ時期を確認するといった管理業務のサポートをしています。

現場で感じたエンジニアとPMOのギャップとは

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エンジニアは実際に開発をしてPMOはそのエンジニアの管理を担うので、実務が全く違うと思うのですが佐田さんはエンジニアからPMOへ転身されてそのギャップはどのようなものだったのでしょうか。

佐田さん佐田さん

仰る通りエンジニアとPMOとでは、プロジェクトに対する視点や関わる範囲に大きな違いがあります。
エンジニア(メンバー)はリーダーから与えられたタスクを期限内にこなすことが求められ、基本的には所属するチーム内でのコミュニケーションに完結しています。 一方PMOは各チームのメンバーやリーダーと頻繁にコミュニケーションを取ることになります。更に各チームの状況をヒアリングするだけでなく、その遅延が後続のスケジュールにどのような影響を与えるのか、そのためにどのような対策をしている・する必要があるのかまでPMに報告できるようにするために、各チームの作業内容をおおまかに把握しておく必要があります。
その他の大きな違いとしては、エンジニアと異なり、実際に自分が開発や設計といった実作業をすることは基本的にはありません。 作業レベルでの理解が足りずもどかしい思いをすることはありますが、あくまで進捗を管理する立場なので、期限に追われるといった意味でのプレッシャーは少ないかもしれないですね(笑)

PMOに求められるのはきめ細やかなコミュニケーションと交渉力

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初めてPMOの現場に入られたときは、どういったところが大変でしたか。

佐田さん佐田さん

きめ細やかなコミュニケーションの重要性を痛感しました。プロジェクトのほぼすべて参画メンバーと会話する必要があり、特にリーダー陣からはチームの進捗状況の詳細なヒアリングが必要です。
私の場合はリーダー経験が半年程度と少なかったため、年次も経験値もかなり上の方々に進捗状況をヒアリングするのは、最初は少し勇気がいりました(笑) 一方的に状況を聞いたところで本当のリスクや影響を見極めることはできないため、まずは自分で確認できることは事前に調べた上で、認識があっているかをヒアリングするようにしています。
信頼関係がなければ抱えている課題やリスクについて詳しい説明はしてくれないので、普段のさりげない会話もこころがけています。
メンバーと会話する際も、ただ淡々と進捗をヒアリングするのではなく、どんな原因があって遅れているかを相手に立場に立って共に考えてリーダーに共有するなど、親身なコミュニケーションも気を付けています。 PMOは、コミュニケーションにおいては交渉力が重要な要素になってきます。 ただ状況をヒアリングするだけではなく、場合によってはスケジュールの組み換えやリソースの振分けといった調整が発生することもあります。 会話する前にどのような調整をしたいのかを考え、「XXに影響が出るため、誰をいつまで〇〇チームに貸してほしい」など、なるべく調整してほしい内容を具体的に示すようにしています。
経験のあるPMOは、よりチーム内に入り込んで課題に対してドライブをかけるといった主体性が求められるかもしれないですが、私は経験が少ない分、こまめにコミュニケーションをとることで隠れた課題を吸い上げるよう努めています。

PMOになるためにエンジニアのうちから準備しておきたいこと

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佐田さんと同じく、今エンジニアの方が今後PMOにチャレンジしたいという場合、どんな準備をした方がいいですか?

佐田さん佐田さん

ざっくりいうと、幅広くいろいろな経験を積んでおくとよいと思います(笑)
業務要件を詰めるチーム、設計チーム、開発チーム、テストチームなど、さまざまなチームのメンバーと会話をする際、実務経験があるとないとでは理解できる範囲も深さもかなり変わってくると思います。 あとはやはりリーダー経験を積んでおくと、より判断力を求められる踏み込んだマネジメントができて楽しいのではと思っています。
素質として向いているのは、マネジメントに興味がある人やデータ分析が好きな人、いろんな人と会話するのが好きな人なんかは向いているかもしれません。逆にあまり向かないかなと思うのは、実際に手を動かして開発したい人、クライアントの最前線でコンサルしたい人は、全体を横串で管理するPMOはもどかしさを感じるかもしれないです。 管理に特化したポジションではあるものの、いかに現場に寄り添えるかがよいPMOになるために重要だと思っています。
PMOを目指す人は、今のエンジニアとしての経験は必ず生きてくると思いますので、+αで上のメンバーの視点をもって日々過ごしてほしいです。

フリーランスエンジニアからPMOにキャリアップできるか

これフリ佐々木これフリ佐々木

フリーランスエンジニアからのPMOへのキャリアップは一般的に実現可能だと思いますか?フリーランスといえばプロフェッショナルとして即戦力を要求されることが多いので難しいイメージですよね。

佐田さん佐田さん

これまでお話してきた用意しておいたほうがいいことや、本人の趣向が合っているのであれば充分可能だと思います。
もちろん、最初から敷居の高いプロジェクトは厳しい気もしますが、自身のスキルをしっかりお客様に提案してくれるエージェントとの協業は必須だと思います。スキル感を全くわかってくれていないエージェントさんですと、一般的な書類選考も通らない気がします。他にはレジュメの書き方も意外に大事です。例えばどういった課題があり、その課題に対してどう解決していったのか等書ければそれだけでPMOとしての素養はありそうです。
当たり前ですが、コミュニケーション力が求められるプロジェクトにエントリーするのに自分の経歴書がわかりにくければ選考は通らないですね。キャリアップを本気で臨むならそういったところも手を抜かないことが大事だと思います。

これフリ佐々木これフリ佐々木

最後にいまフリーランスエンジニアの方に一言お願いします。

佐田さん佐田さん

一定のノウハウや方法は確かにありますが、大事なのは今の行っている業務をおろそかにしないことだと思います。
結果的にキャリアは点と点が線で結ばれるような感じなので、現在の業務に対し100%以上の成果を出す意気込みで頑張っていればおのずとキャリアアップの道は開かれると思います。

これフリ佐々木これフリ佐々木

佐田さん、インタビューをありがとうございました!

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