近年、スマートフォンの普及とともに、さまざまなアプリを利用することが当たり前になっています。
しかし、アプリ毎に異なったサービスが提供されており、アプリ毎に会員登録やカード決済情報を入力しなければなりません。
そのため、パスワードを失念してしまったり、インストールしたまま一度も利用せず放置されたアプリもあるかと思います。
そうした手間や使いづらさを解消し、ユーザビリティを追求した新たなアプリのかたちが「スーパーアプリ」です。
本記事では、スーパーアプリの定義からその特徴、メリット・デメリット、そして世界と日本の事例を通して、スーパーアプリの魅力を解説します。
スーパーアプリとは
スーパーアプリは、その名の通り多機能性を持ったアプリケーションです。
一つのアプリでありながら、ユーザーが日常的に必要とする多くのサービスや機能を統合的に提供することが特徴です。
従来のアプリは、例えば写真編集、音楽再生、メッセージ送信など、一つの特定の機能に焦点を当てて設計されていました。
しかし、スーパーアプリはその枠を大きく超え、ショッピングから決済、SNSの機能、ニュースの閲覧といった、さまざまな機能を一つのアプリ内で完結させることができます。
このようなスーパーアプリの登場により、ユーザーは複数のアプリをダウンロード・インストールする手間を省くことができ、一つのアプリ内で日常生活の多くのニーズを満たすことが可能となりました。
これは、特にスマートフォンのストレージ容量に限りがある場合や、シンプルな操作性を求めるユーザーにとって、非常に便利な進化と言えるでしょう。
スーパーアプリが必要とされる理由
ユーザーの多くはダウンロードしたアプリの中で実際に頻繁に利用するアプリは限られています。
その背景には、新しいアプリを始める際の手間が大きな要因として挙げられます。
具体的には、アプリごとのアカウント作成やID・パスワードの設定、さらには決済情報の登録など、初期設定の手続きが煩雑であることがユーザーのストレスとなっています。
しかし、スーパーアプリは、一つのアプリ内で複数のサービスや機能を提供するため、異なるサービスを利用する際に別々のアプリを立ち上げる手間が省けます。
また、スーパーアプリ内で共通のIDや決済情報を使用することができるため、新しいサービスを始める際の手間も大幅に削減されます。
このように、スーパーアプリはユーザーの利便性を追求した結果として、多くの人々に必要とされる存在となっているのです。
スーパーアプリのメリットとデメリット
スーパーアプリのメリット
ユーザーを獲得しやすい
スーパーアプリは、プラットフォームとなるスーパーアプリさえインストールされていれば、複数のミニアプリを手軽に活用することができます。
従来のアプリのように都度ダウンロード・会員登録を行う必要がないため、ユーザーの取得ハードルが低くなります。
アプリが削除されにくい
スーパーアプリ内で複数のミニアプリを管理できるため、利用頻度が少し下がった程度でも、アプリが削除されにくい傾向があります。
これは、ユーザーが再度利用する機会を保持することができるため、企業にとっては機会損失の低減につながります。
さまざまなサービスを展開できる
スーパーアプリは、同一プラットフォーム上で多種多様なサービスを展開することが容易です。
新しいサービスも既存のユーザーに簡単に紹介できるため、新しいサービスのシェア獲得や集客が容易になります。
スーパーアプリのデメリット
参入の難しさ
スーパーアプリは多くのサービスやミニアプリが一つのプラットフォームに集約されています。
そのため、参入には多角的なビジネス展開や多くのユーザーを持つアプリの提供、高い利用頻度などの要件が求められます。
特に、自社の魅力的なサービスが少ない場合や、魅力的なプラットフォームを持っていない場合、参入のハードルが高くなります。
機能過多のリスク
スーパーアプリの最大のメリットは多機能性にありますが、これが逆にデメリットとなることもあります。
機能が過多になると、ユーザーの操作性が低下し、使いづらくなる可能性があります。
特にスマートフォンなどの限られた画面サイズでの操作性と機能性のバランスは難しく、UI・UXの設計には細心の注意が必要です。
プライバシーの懸念
一つのアプリ内で多くのサービスを利用することで、ユーザーのデータや行動履歴が一元的に集約される可能性があり、これがプライバシーの懸念を引き起こすことが考えられます。
世界と日本のスーパーアプリ事例
世界のスーパーアプリの事例
WeChat (中国)
WeChatは、もともとはメッセージングアプリとしてスタートしましたが、その後急速にサービスを拡大しています。
現在では、ショッピング、決済、タクシーの予約はもちろん、ホテルの予約やフライトのチケット購入、さらには公共料金の支払いや医療サービスの予約など、日常生活のあらゆる場面で利用される多機能アプリとなっています。
中国国内でのユーザー数は10億人を超え、日常生活に欠かせない存在となっています。
Grab (マレーシア)
Grabは、マレーシアを拠点に東南アジアを中心に展開するタクシー配車サービスとして誕生しました。
しかし、その後のサービス拡大により、食品配達サービス「GrabFood」や決済サービス「GrabPay」を始めとするさまざまなサービスを提供するようになりました。
特に、決済サービスは東南アジアの多くの国で銀行口座を持たない人々にとって、非常に便利なツールとして受け入れられています。
Grabは、東南アジアにおけるスーパーアプリの代表例として、多くのユーザーに支持されています。
日本のスーパーアプリの事例
LINE
LINEは、もともとはメッセージングアプリとして日本でスタートしました。
しかし、その後のサービス拡大を経て、現在では多岐にわたる機能を持つスーパーアプリとして進化しています。
具体的には、LINE Payという決済サービスや、LINE NEWSでのニュース配信、LINEショッピングをはじめとするショッピングプラットフォームなど、さまざまなサービスが一つのアプリ内で利用できるようになっています。
また、LINEマンガやLINEミュージックなどのエンターテインメント関連のサービスも展開しており、日常生活の多くの場面で利用されるアプリとなっています。
PayPay
PayPayは、もともとはQRコードを利用した決済サービスとして日本で登場しました。
その利便性から急速にユーザー数を増やし、現在ではショッピングやフードデリバリーサービス「PayPayフード」をはじめとするさまざまなサービスを提供しています。
特に、キャッシュバックキャンペーンなどのプロモーションを活用して、多くのユーザーに利用されるプラットフォームとなっています。
PayPayモールやPayPayフリマなど、ショッピングに関連するサービスも充実しており、一つのアプリで多岐にわたるサービスを利用することができます。
まとめ
スーパーアプリの普及とその影響は、今後さらに加速すると予想されています。
新興国においては、スマートフォンの普及率が急速に高まっています。
特に、インフラの整備が進んでいない地域や銀行口座を持たない人々にとって、スマートフォンは情報収集や決済手段としての役割が大きいです。
このような背景から、一つのアプリ内でショッピングから決済、通信までさまざまなサービスを提供するスーパーアプリの需要は、新興国を中心に急増しています。
一方、先進国においても、スーパーアプリの普及が進むことが期待されています。
多忙な現代人にとって、さまざまなアプリを切り替える手間を省き、一つのアプリで日常生活の多くのニーズを満たすことができるスーパーアプリは、非常に魅力的です。
ショッピング、決済、通信、エンターテインメントなど、生活のあらゆる場面での利用が期待され、その結果、ユーザーの生活をより便利に、より豊かにする可能性があります。
このように、スーパーアプリは今後、世界中での普及が進むとともに、私たちの生活における存在感をさらに増していくことでしょう。
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