「ジェネレーティブAIという言葉を聞いたことがあるけど、どういう意味なのか知りたい・・・」

「ジェネレーティブAIは今後の社会にどのような影響があるのか・・・」

開発エンジニア、フリーランスエンジニア等の方で、ジェネレーティブAIというキーワードに興味があって注目しているが、具体的な内容や今後の社会にどのような影響があるのか疑問に思っている方も多いでしょう。

ジェネレーティブAIは今一番注目されているIT業界のトレンドと言っても過言ではありません。特に開発エンジニアやフリーランスエンジニア等の方は、ぜひこの機会にIT業界のトレンドであるジェネレーティブAIについて理解を深めておくことをおすすめします。

この記事では、ジェネレーティブAIに関して、エンジニアの方々が習得すべき様々な情報を紹介していきます。

開発エンジニアやフリーランスエンジニア等の方でジェネレーティブAIに興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

1. ジェネレーティブAIとは

ジェネレーティブAIの説明をする前に、まずはAIと何かを紹介します。AIはArtificial Intelligenceの略称で人工知能を意味します。AI(人工知能)を簡単に言うと、人間の知能となる考える部分をプログラム等で人工的に再現する技術のこととなります。

AIには大きく2種類あり、汎用型AIと特化型AIがあります。特化型AIは、例えば将棋アプリや自動運転のように、決められた範囲の中でどれを選ぶかを判断して処理するAIのことで、既に実用化も多くされています。一方で、汎用型AIは人がコミュニケーションを取るようなイメージで、範囲が無い中から答えを選ぶAIで、難しく、完全な実用化はまだされていません。

ジェネレーティブAIとは何かについて、アメリカのIT系調査会社であるガートナー社が「コンテンツや物についてデータから学習し、それを使用して独創的かつ現実的な新しいアウトプットを生み出す機械学習手法」と定義しています。つまり、ジェネレーティブAIとは、AIがコンテンツやモノについてデータから学習して、新しい完成品を生み出す機械学習の設計手法のことです。

2. ジェネレーティブAIが注目されている理由

アメリカのIT系調査会社であるガートナー社が「戦略的テクノロジのトップトレンド」の2022年版を発表しました。「戦略的テクノロジのトップトレンド」は、ビジネスマンなら知っておくべきIT業界の最新トレンドのランキングです。そのトレンド一覧の中で、ビジネスの成長を一番加速させることが期待できる技術として「ジェネレーティブAI」があげられました。

これにより、ジェネレーティブAIという言葉が一気に注目されるようになりました。

3. ジェネレーティブAIのメリット

では、ジェネレーティブAIにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

一言でいうと、ジェネレーティブAIを利用することで、AIによって膨大なデータを分析して、人間では思い付かないような斬新的な新しいアイディアを出すことが可能となります。

では、ジェネレーティブAIのメリットについて、詳しく説明していきます。

膨大なデータから無数のバリエーションを検討可能

ジェネレーティブAIで製品開発をしようとした場合、まずは材料、重量、性能、価格などの製品開発に必要な条件を決めます。すると、AIは与えられた条件に合う設計案をいくつも作り出すことができます。設計案に一部見直しが必要となった場合でも、条件を再設定することで、AIに再検討させることが可能です。

今までは人間が条件の範囲内で設計案を考えるのが一般的でしたが、ジェネレーティブAIを活用すれば、短時間で複数の設計案を作り出すことができるようになります。

斬新的なアイディアが出せる

ジェネレーティブAIの中で、デザイン設計に特化したものをジェネレーティブデザインと言います。ジェネレーティブデザインでは、人間のデザイナーがすぐに思い付かないようなデザインを生み出すことができます。

デザイナーがデザイン設計する場合、デザイナー個人の知識やこれまでの経験などからある程度の先入観が作られて、そこからデザイン設計が行われます。そのため、過去に実績のある質の高い設計案が生み出される可能性が高いですが、どうしてもこれまでに無い斬新的なデザインはすぐには出て来ない可能性が高くなってしまいます。

ジェネレーティブAIの場合は、AIが過去のデータ全てを参考にして新しいデザイン設計をするため、これまでに無い斬新的なデザイン設計案が生み出される可能性が高くなります。

設計コストの削減が可能

製品開発の条件を満たした質の高いデザイン設計を考え出すには、非常に時間が掛かる作業となります。さらに、作り出された設計内容が、本当に条件に合うかどうかを検証する作業も時間が掛かります。つまり、デザイン設計はコストがとても掛かる作業です。

また、条件の一部が変更となった場合は、設計や検証を全てやり直す必要があります。例えば、想定していた材料が入手できず、材料を急遽変更しなくてはならなくなってしまったようなケースが考えられます。

しかし、ジェネレーティブAIを活用すれば、デザイン設計をやり直したりすることも、条件を変えることも可能なため、デザイン設計でのコストを大幅に削減することができるようになります。

4. ジェネレーティブAIのデメリット

一方で、ジェネレーティブAIを活用することで発生するデメリットもあります。では、ジェネレーティブAIにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。ジェネレーティブAIのデメリットを紹介していきます。

犯罪等に悪用される危険性がある

ガートナー社は「戦略的テクノロジのトップトレンド」でジェネレーティブAIがビジネスの成長を加速するとの予測を発表しましたが、一方で、詐欺や不正、政治的な偽情報の発信、なりすましなどに悪用される危険性があることも伝えています。

ロンドン大学ユニバーシティカレッジの研究者もAIが普及することによって発生する可能性があるAI悪用ケースを発表しています。

【AIが悪用されるケース】

・ディープフェイク

・武器としての無人自動運転車

・高度なフィッシング詐欺

・AI制御の基幹システムの破壊

・大規模恐喝

・AIが生み出すフェイクニュース

特に、ディープフェイクとフェイクニュースへの悪用は発生する可能性が高く、リスクが懸念されています。ディープフェイクは、人の顔を交換して偽動画を作るような行為のことです。

人が発言したり、行動したりしていないようなことでも、ディープフェイクとフェイクニュースで捏造することできてしまうため、影響力の高い人が狙われて悪用されてしまうと大問題となる可能性もあります。AIが進歩すると、ディープフェイクの技術も高度化してくるため、今後は人間では判別できないレベルのフェイクニュースが発信されてしまう危険性もゼロではありません。

5. ジェネレーティブAIによって何が変わるのか

ジェネレーティブAIが実用化されると、社会のあらゆる商品のデザインが一新されて、今後数年の間に、生産性革命をもたらすと予測されています。今まで当たり前と思っていたようなデザインもジェネレーティブAIによって大きく変わる可能性があります。

しかし、ここまで紹介してきた通り、ジェネレーティブAIには多くのメリットがありますが、反対にデメリットも存在します。社会を便利にできる革新的な技術ですが、使う人が悪用すれば、これまでに無かったような犯罪を生む出すことにもなってしまいます。

ジェネレーティブAIは使う人次第で良くも悪くもなってしまう技術のため、より良い使われ方がされることを願うばかりです。

まとめ

ジェネレーティブAIとは何かの紹介から、ジェネレーティブAIのメリットやデメリットについて紹介してきましたが、いかがでしょうか。 これまでのIT技術とは少し異なり、ジェネレーティブAIが実用化されるとこれまでの社会を一気に変革するだけの大きなインパクトがある技術です。今後もジェネレーティブAIが注目されるのは確実なため、ぜひこの機会にジェネレーティブAIに対する理解を深めておくことをおすすめします。