IT業界には様々なキャリアアップの形があります。テスターからエンジニア、デザイナーからWebディレクターなどです。キャリアアップをする目的は人それぞれですが、多くは市場価値を高めて収入を増やすことではないでしょうか。今回はフリーランスとして独立後にエンジニアからITコンサルタントへのキャリアアップを実現した東さんのこれまでの経歴をインタビュー形式でご紹介します。是非ご参考ください。
■プロフィール
氏名:東 竜太郎(仮名)41歳男性
大学:四年制私立大学卒
職務経歴:専門学校卒業後、中堅SIerにてWindowsOS関連プロジェクトに2年程エンジニアとして従事。その後国内有数のWebサービス開発に携わる。プレイングマネージャーとしてクライアント含めステークホルダーとの折衝・交渉を行う傍ら、自らプレーヤーとして開発を行うなど密度の濃い時間を過ごし、4社目の転職後にフリーランスへと転身する。その後、起業やITコンサルタントへのキャリアアップを経て、現在はフルスタックエンジニア兼社長業に従事する。
エンジニアとしての土台作り
東さんいつもお世話になります。東さんは社長業とフルスタックエンジニアの二足の草鞋を履いて精力的に活動されていますが、現在に至るまでどのようなご経歴を辿られたかを伺いたいと思います。
初めはごく一般のエンジニアとして会社員時代を過ごされたのですよね?
佐々木さん、いつもお世話になります。
情報系専門学校を卒業後に社員数百人の組み込み系SIerへ入社しました。最初の案件はWindowsOS開発の一端に携わりました。エンジニアの基礎はここでみっちり鍛えられましたね。仕事はとても楽しかったのですが報酬が少なすぎたので3年ほど経過して転職しました。
2社目はWeb系のソフトハウスで、検索システムのコンテンツ開発にかかわりました。プログラミングだけではなく企画会議に参加し仕様に口を出したり、時には営業に同行までさせてもらいました。一気に仕事の幅が広がったのはこの頃ですね。
組み込み開発でしっかりした開発プロセスとプログラミングの基礎を、2社目では顧客折衝と上流から下流までの一気通貫した経験が得られたのですね。
2社目では仕事を続けながら通信大学に通われたのですよね?どうしてですか?
理由はいくつかあります。
一番の理由はモノづくりの視点だけではクライアントがイメージすることを実現できないと痛感したからです。会社経営やサービス視点が重要だと思い経済学部を選びました。あとは当時学歴主義が強く昇進するためには大卒学位が必要でした。大学で学んだ利点が3点あります。
一つは通信大学ならではだと思いますが、人脈が増えました。社会人で仕事をつづけながら通っている同年代の学生が想像以上に多かったですね。
二つ目は当初の目論見通り、顧客の言葉が分かるようになりました。システム用語が分からないユーザーとのやりとりがスムーズにできるようになり、あからさまに大きな仕事を任されるようになりました。
三つめは転職が容易になりました。大学を無事卒業後に「プロダクト開発の一員として運営から携わりたい」と強く思うようになり、エンタメ系のコンテンツを開発していた会社に転職しました。ガラケー関連の大きな仕事を任されたのですが、月400時間以上の残業を数か月続けるような労働環境で体調を崩してしまい転職しました。
最後にマネジメント力を身に着けたいと思いアフィリエイトサービスを手掛ける大手企業に就職しました。比較的早く成果を上げることができ社長に気に入られて目もかけてもらいましたが、直属の上司とは馬が合わず、結果転職を決意することになります。それまでのキャリアを振り返ると会社員時代にシステム開発にかかわるスキルを幅広く、深く得られたと思います。
フリーランスとして独立したきっかけ
4社目の転職を考えた後にフリーランスとして独立することを決意したということですが、以前から計画を立てていたのですか?
当時フリーランスになるんだ!とは考えていませんでした。私が未熟だっただけなので今となってはお恥ずかしい限りですが、過去を振り返ると直属の上司と合わないケースがほとんどでした。
転職回数4回と当時としては多く、30歳をちょうど過ぎたタイミングで転職エージェントからの引き合いが減りました。3社目で仲良くしていた後輩がフリーランスとして独立していて、フリーランス生活のリアルな情報を得ることができました。退職の意向を伝えてすぐにフリーランスとして案件を探そうと某エージェントに登録しました。すぐに案件がみつかり、あっという間に4年が経ちましたね。すぐに自分に合った働き方だと痛感しました。
法人を設立した理由
このころ株式会社として法人化していらっしゃいますね。独立されても法人化しない方の方が多いと思いますが、東さんはなぜ法人化されたのですか?
そうですね。私にとっては自然な流れでした。フリーランス生活が5年目を迎え徐々に大きなお仕事を任せていただけるようになりましたが、個人では請けられない規模の大きな案件を何件かお断りしました。とてももったいないことをしたと後悔しましたね。
あとは中学生時代から描いていた起業するという夢を実現したかったからです。シンプルに、メリットばかりでした。
ITコンサルタントへのキャリアアップを意識した訳
順風満帆に見えますが、東さんはその後ITコンサルタントへ更に挑戦されてますよね。なぜキャリアアップしようと考えたのですか?このままエンジニアでも上手くいきそうですが、、、
これもシンプルで、私の市場価値を更に高めたかったからです。紹介いただけるお仕事を比較するとエンジニア案件よりもコンサルタント案件の方が報酬が高く、そうしたお仕事を任せていただけるようにキャリアを変えたいと考えました。あとは、より大きな仕事をしたい、経営に直結するような仕事を顧客と至近距離でかかわりたいと考えた結果エンジニアとしてではなくコンサルタントとして仕事をしたいと考えました。
ただ、ITコンサルタントになるにはどうすればいいかが全く分かっていませんでした。餅は餅屋ということで当時案件紹介を支援いただいていたBTCエージェントさんにご相談したところ、「まずはコンサルタント用の経歴書を作りましょう」とアドバイスをいただきました。添削を繰り返してできたコンサルタント向けの経歴書がエンジニア経歴書とこんなにも違うのかと思いましたね。
ITコンサルタント初仕事と感想
幸運なことに、まさに希望に合致する案件が見つかりましたね。初仕事は上手くいきましたか?
そうですね。エンドクライアントは中規模の企業で、次期システムの構想策定をしたい、コンサルタントに助言してもらいたいが机上の空論にならない確かな提案をしてもらいたい という案件でした。ここで私の得意とするエンジニアリングの技術が十二分に発揮されることになります。構想を練り、イメージをすり合わせるためのPOCを高速でまわしました。モックベースで企画書を作り、使用感を確かめながら進めるという手法が顧客に評価され、とどまることなく仕事の依頼をいただくことにつながりました。ここで確かな手ごたえを感じました。
コンサルティングワークをして楽しかったこと、辛かったこと
コンサルタントとしていくつかの案件を請けられたと思いますが、率直にいかがでしたか?
圧倒的に早いスピードで経営に直結するお仕事をできるというのは刺激的で楽しかったですね。
ただ、案件によってはコンサルタントに求める成果が異なっていて、私にとっていい思い出だけではありませんでした。
というのも、ITコンサル的なアウトプットではなく業務コンサルの要素を多く求められた案件が大変でした。求める成果はモックやシステム開発に関するものではなく、よくできた完璧なきれいな計画書類やアウトプットでした。
予定通りに進まないことが多い開発をいかにしてスムースに進められるかという計画を私は立てたかったのですが、必要とされたのは業務の整理を精緻に行い紙に落とすことでした。
それもコンサルティングには必要不可欠だと思う一方、心根はエンジニアの私からするとモノづくりの要素を伴わないコンサルワークが本質ではないように感じたのです。
ちなみに同じエンドクライアントの別チームはモックベースで計画を進めていたので、関わる人物によってここまで違いがあるものなのかと驚きました。
ITコンサルタントへのキャリアアップを考えているフリーランスの方へ
最後に、キャリアアップを考えているエンジニアの方へアドバイスはありますか?
フリーランスという働き方は自由ですが多くの不安や心配があると思います。仕事選びやキャリアアップの選択は自分次第です。独立していろいろな経験をさせてもらいましたが、失敗を恐れず、顧客と向き合い、顧客のために仕事をすれば自然と結果がついてくると思います。
失敗するからこそ得られるものがあり、次への成長の糧となると思いますので、ぜひチャレンジを続けてください。
東さん、今日は長い時間ありがとうございました!
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