働き方改革のもと、業務効率化や生産性の向上、人材不足解消に向けてRPAを導入する企業が増えています。
株式会社矢野経済研究所の発表によると、2016年度には約85億円だった市場規模が2021年には741億円にまで伸びると予測されています。
また、ガートナージャパン株式会社の発表では日本のRPAは幻滅期の底に向かっているそうです。
本記事では身近になってきたRPA業界の今後の行く末から今後のフリーランス案件の動向について考察していきたいと思います。現在RPAエンジニアとして活躍している方、また今後RPAにご興味のある方はぜひ一読ください。

既に導入率51%以上 国内市場ではRPA×○○が求められている

株式会社MM総研の発表によると、2019年11月時点でのRPA導入率は38%となり、年商1,000億円以上の大手企業に絞った場合は51%にもなるようです。ここ2,3年のRPAの盛り上がりを考えるとガートナージャパン株式会社の発表による、パイプ・サイクルにおける「過度な期待」のピーク期を抜け、幻滅期の底に向かっている、というのも理解できます。なかにはRPAの導入が上手くいかず失敗したという話を耳にされ、今後のRPA市場に不安を感じている方も多いかもしれません。
確かにRPAを導入済みの企業は多くありますが、RPAは導入して終了ではありません。実際は導入後に更なる業務の自動化を目指し、RPAの拡大に向けて動いている企業は多く、ツール単体での導入だけではなく、OCR×RPAなども増えており、今後はAI×RPAへの期待も大きいのが現状です。

導入済み企業の更なる取り組みと未導入企業の動向

上述のように、導入済みの企業もRPAについては終了したわけではありません。成果が出た企業については更なる適応業務を拡大すべく、前向きに動いている企業は多いです。
OCRの導入やスモールスタートから拡大の為にRPAツールの入れ替えなど、まだまだ動きは活発です。
では導入したが成果が出なかった企業はどうでしょうか。RPAの導入を諦める企業もいますが、失敗した理由を踏まえ、改めて検討を進める企業もいます。
失敗してしまった企業にありがちなのが、RPAは簡単に作れる・導入できるという触れ込みのもと自社だけで導入してしまった結果、コストだけがかかり生産性もあがらないというパターンです。大事なのは、RPAを導入するうえで業務改善を並行して行うことです。
現状の業務をただ自動化するだけでは、少しスピードが上がる程度になり、期待を下回ってしましいます。
適切な業務の洗い出しとRPA導入前提での業務改善が成功の秘訣になります。成功事例なども多く紹介されてきていることもあり、改めて導入を検討する企業も増えてきています。

一方で、大手企業でも49%がRPAを導入していない状況です。中小企業も併せればまだまだ導入していない企業が多く、まだまだ広がっていく可能性が高いです。
大手企業の新規導入については、東京を中心に首都圏はある程度導入が進んでいるため、今後は主要地方都市での導入が進んでいくと考えられます。現に大阪や福岡に本社を構える企業が徐々に導入や具体的な検討に動き出していますので、今後は首都圏以外でもRPAの案件を多く見かけることになりそうです。
現在RPAツールは、機能は少ないがコストを抑えた新しいツールなどがどんどん出てきています。今までコストメリットが得られないため導入に踏み切れなかった中小企業がRPA導入に対するハードルが下がるとういことです。人手不足や残業時間の削減などの人的コストに課題を抱えていた企業にとっては大変有効なツールになると考えられ、今後は大手企業以外での導入が更に加速してくのではないでしょうか。

今後のRPA業界はどうなる

各社RPAツールは進化を続けており、機能面では今後、差がなくなってくる可能性が高いです。要するにRPAツール単体だけではなく、他との組み合わせが重要なポイントになるでしょう。
冒頭でもお話しましたが、幻滅期を超えてより現実的な取り組みを始めている企業が増えてきます。RPA×OCRは導入が進んでいますが、RPA×AIはまだ時間がかかりそうです。もちろん実現した際の効果は計り知れませんが、今、ユーザーに求められているものはユーザー側で既に使用しているシステム・サービスなどとRPAの連携といった現実的なものです。例えば、SalseforceやSAPなどとの連携です。システム・サービスを持っている会社とRPA各社が協力し、より簡単に連携ができるものをユーザー側に提供していくことが1つのポイントになりそうです。現在、少しずつこういった動きが出てきているようですが、1~2年ほどで加速していきそうです。

ツール開発だけではない業務フローの提案力が求められるRPAエンジニア

これからRPA導入する、もしくは改めて導入の再検討を検討する企業が増えてくるため、導入を成功するためのノウハウを持っている方の需要が増えてきます。
要するに、業務改善に関わるスキルがより重要になっていきます。ここ数年の経験から、導入する業務の選定が非常に重要であることが認知されてきました。業務の洗い出し、自動化の範囲、ツールに合わせた業務フローの変更などの提案ができる方の需要は今後さらに伸びてくるはずです。昨今、注目されている、業務の洗出し、可視化を目的としたプロセスマイニングツールなども知識を蓄えていくと良いでしょう。
導入済みの企業については更なる拡大に向けて、ツールの再検討やOCRなどの新たな技術を使用することが増えているため、各ツールの特徴を理解し、ツール選定ができる力をつけておくことも有効です。
エンジニアの方についてはぜひツールに縛られず、さまざまツールを経験していくことをお勧めします。
将来コンサルタントなどの上流ポジションに進む際に必ず役に立ちます。
OCR自体はツールがしっかりしている為、設定自体は困難なものではありませんが、コツがありますので今から経験を積んでおくと良いでしょう。
現状もそうですが、恐らくRPA導入においてOCR専任のエンジニアの需要は増えないと思いますので、RPAのスキルにプラスして身に付けていく必要があります。
また、今後は導入を終えてくる企業が増えてくるため、運用保守フェーズの需要が増えると考えられます。
導入中はベンダーが運用も並行して行う事が多いですが、この先導入が終わったあとに運用保守を任せられる方を自社で用意することは難しいと考えられるためです。未経験の方や経験の浅い方はここを狙って経験を積んでいくのもキャリアアップの近道かもしれません。

主要なOCR製品

現在、導入が進んでいるOCR製品について、主要な製品をご紹介致します。RPAエンジニアとして活躍するうえで必ず耳にする製品なので、是非チェックしてくだい。

ABBY FlexiCapture(ABBY)

特に定型型・非定型型帳票に強いOCRで、手書きには対応していません。こちらのオンプレミスで提供される製品です。200種類を超える言語に対応、BluePrism、UiPath、WinActor、PEGA、AUTOMATION ANYWHEREなど主要RPAツールにコネクター部品が用意されていることが特徴です。

DX Suite(AI inside)

定型型・非定型型帳票はもちろんのこと、手書きにも対応しています。こちらはクラウド、オンプレミスの両方を提供しています。学習済みのAI-OCRエンジンが利用できます。また、高いセキュリティレベルを実現しており、金融系企業での実績が豊富です。UiPath、WinActor、BizRobo!はRPAツールにコネクター部品が用意されています。

Tegaki(Cogent Labs)

定型型帳票に対応しており、手書きの帳票読み取りが強いOCRです。こちらはクラウドで提供される製品です。手書き文字の識字率が99.2%と非常に高いことが特徴です。APIが提供されるので、RPA側からリクエスト投げることで連携可能となっています。

手書きに対応可否、定型型帳票のみ対応などこの他にも様々なOCR製品があります。な大事なのはどの製品がユーザー側にとってベストなのかを把握し、提案できることなので、様々な製品情報をしっておくことはとても大事なことです。ご興味がある方は是非調べてみてください。

抑えておきたいRPAツール

最後に抑えておきたいRPAツールについてご紹介させて頂きます。

UiPath

国内ではWinActorが圧倒的なシェアを持っていましたが、切り崩したツールです。日本語対応もしていますし、無料でオンライントレーニングを提供しているので、未経験の方でも始めやすいのもポイントです。これからRPAを始める方は学んでおいて間違いないツールの一つです。

Blue Prism

RPAツールとしては18年以上の歴史を持っていいます。高度な管理機能を提供しており、ロボットの稼働状況やさまざまなKPIが可視化することができます。また、高度なセキュリティ機能も提供しているため、金融機関や医療機関などでも安全に利用することができます。

BizRobo!

2008年から、ソフトウエアロボットの導入・運用をいち早く支援してきたツールです。サーバー型、デスクトップ型ツールなど多様な製品・サービスを要員しているのが特徴です。デスクトップ型から大規模運用に適したサーバー型への移行も容易です。

Automation Anywhere

運用の統制がし易く、機密データの保護、アクセス制御などのセキュリティを備えることから、金融業界でも採用されています。プロセスマイニングツールを備え、機械学習を応用した自動化ソリューションを豊富にそろえているのも特徴です。

NICE

元々コールセンター業界から生み出されたRPAツールなので、顧客管理を得意としています。CORやチャットボットなどの技術も使われており、オペレーターが顧客と対話してる際に音声認識し、顧客情報のメタデータを作成する事も可能です。構築難易度はRPAツールの中でも比較的高いと言われています。
このほかにもMicrosoft社が提供を開始したPower Automate(UI flows)なども今後も新しいツールが出てきます。一つのツールに縛られることなく、常にアンテナを張り巡らし情報収集していくことをお勧めします。

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