さて、本記事をご覧いただいたということは少なからず将来のことに不安を持っている、もしくは何かしら老後対策していかないとやばいよねと危機感を持っているのかと思います。
本記事では、
①「老後2000万円問題」フリーランスの場合は?
➁フリーランスのもらえる年金受給額は?
③ケース別で老後いくら必要か予測する
④フリーランスの行うべき老後対策 の4部構成で解説しています。
誰でも理解できるように、わかりやすくシンプルに書いていますので、金融知識はまったく必要ありません。是非この記事をご覧いただいて、年金問題について正しく理解し、老後対策を行っていきましょう!
■こんな方におすすめ
- フリーランスの年金問題について知りたい
- フリーランスの年金受給額について知りたい
- フリーランスの老後対策について知りたい
①「老後2000万円問題」フリーランスの場合は?
老後2000万円問題とは 前提を理解せよ
さて、皆さんは老後2000万円問題について正しく理解できているでしょうか。まずは2019年6月に金融庁が報告した老後2000万円問題とは「誰が対象」で「どんな財政状況の場合」不足するのか、理解しなければ、フリーランスの皆さんは対策のしようがありません。
ざっくり、金融庁の発表した内容をざっくりまとめるとこんな感じです。
- 対象は夫婦二人 専業主婦(主夫)体制 働き手は正社員
- 60歳~90歳の30年間の不足分が2000万円(収入20万円、支出25.5万円で算出)
- 収入の20万円はほぼ年金受給額
皆さんの状況とはたしてどれだけ一致しているでしょうか、少なくとも本記事をご覧いただいているフリーランスの皆さんはどの項目も当てはまらない場合がほとんどかと思います。
なので、フリーランスが老後2000万円の不足なのか言われれば、大部分の方がNOという回答になります。
フリーランスは老後6000万円必要?!
例えば、いまは共働きが多いですし、奥様(もしくは旦那様)が正社員なのかフリーランスなのかによって年金受給額は大きく変わります。
またフリーランスとして60歳までバリバリ稼げるでしょうか?フリーランスは年齢が高くなれば需要が低くなる為、60歳引退前提ではダメでしょう。
最後に、年金受給額はゼロになることはなくても、これから下がっていくと国が予測しています。果たして20万円の年金受給があるでしょうか。
「フリーランスが老後いくら必要になるのか」に回答するとすれば、「大体6000万円以上」だろうと予測しています。もちろん、夫婦の収入や雇用形態、現役労働期間によって金額は大きく左右します。ロジックについてはいくつかのケースに分け、③ケース別でいくら必要か で解説しますので、まずはその前に次項の年金についての理解を深めましょう。
➁フリーランスがもらえる年金受給額は?
年金の仕組み・財源を理解せよ
実際自分がいくら年金もらえるの?を解説する前に、まずは年金の仕組みについて簡単に説明します。
今の日本は年金を3つの財源から支払っています。
- 現役世代の年金保険料
- 税金
- 積立金(国も長期的に投資をしています)
3つと言いましたが、積立金には手を出していないので、実際には60%が年金保険料、残り40%が税金から捻出しています。
時々「いつか年金はゼロになるかも!」という金融マンのセールストークがあったりしますが、それは国の破綻を意味する為、ほぼあり得ないと考えてもらって大丈夫です。だって税金徴収がゼロになるってことは公共のインフラはすべて停止することを意味しますよね。
ただし、例えば働き手が少なくなれば年金の60%を賄っている1.現役世代の年金保険料が少なくなるということになる為、「年金受給額が減る」ということは十分あり得ます。
年金受給額の内訳
さて、年金受給額が人によって違うというのは皆さんご存知だと思います。A世帯では月々25万円ももらっているのに、B世帯では10万円しかもらっていないなんてことは沢山起こっています。
年金受給額は国民年金納付額、厚生年金納付額、配偶者の有無によって決定します。
例えばケースAの場合、年金受給額は月々約20万円です。
■ケースA:
- 夫婦二人世帯の専業主婦体制 働き手は正社員だった
- 国民年金を40年間納付した
- 平均収入は40年間で約30万円 厚生年金を40年間納付した
ケースAの年金受給額内訳
国民年金から約78万円/年 厚生年金から約85万円/年 扶養配偶者ありのため+78万円/年 |
上記合計約241万円で月々20万円の年金受給額 |
フリーランスの年金受給額は月6.5万円
フリーランスは国民年金しか受け取ることはできません。厚生年金は正社員や公務員の年金制度だからです。その為、老後満額受け取っても月6.5万円しか受け取ることができないのです。例えば、夫婦共働きで2人ともフリーランスであれば夫婦で約13万円ということになります。
もちろん、フリーランスにも正社員の時代があったと思うので、厚生年金分は完全にゼロということはないでしょう。自分の年金受給額を知りたい場合は日本年機構の「ねんきんネット」を使ってください。将来幾ら足りないのか?が具体的になってくる重要な情報となります。
③ケース別で老後最低いくら必要か予測する
さて、本項ではケース別でいくら必要なのか簡単に予測していきます。細かい計算式はわかりづらくなるので、「フリーランスでこれくらいの人は最低○○万円必要なんだな」程度に理解してください。細かい部分はご自身で計算してみましょう。
【前提条件】
- 働き手はフリーランスである
- 国民年金を40年満額納めている
- 国民年金の受給額は減らない(減ることは予測されていますが、話がややこしくなるので現時点の受給額とします)
- 厚生年金受給額は0円とする
- 老後の生活費は月額平均22.0万円とする(老後の最低日常生活費)
■ケースB:専業主婦(主夫)の場合
老後不足額 | 約3240万円 |
計算式 | 生活費不足分9万円(22-13)×30年 |
■ケースC:共働きで片方が正社員の場合
老後不足額 | 約3060万円 |
計算式 | 生活費不足分8.5万円(22-13.5)×30年 |
■ケースD:共働きで両方フリーランスの場合
老後不足額 | 約3240万円 |
計算式 | 生活費不足分9万円(22-13)×30年 |
■ケースE:早期退職 50歳で働くのをやめた&専業主婦体制の場合
老後不足額 | 約7020万円 |
計算式 | [生活費不足分9万円(22-13)×30年] +[引退から年金受給までの15年×生活費22万円] |
■ケースF:早期退職 50歳で働くのをやめた&両方フリーランスの場合
老後不足額 | 約7200万円 |
計算式 | [生活費不足分8.5万円(22-13.5)×30年] +[引退から年金受給までの15年×生活費22万円] |
豊かな老後生活には約35万円必要だといわれています。
前提で生活費は22万円としているので、上記の金額でも豊かな生活には程遠いということが伺えます。35万円を前提に考えるのであれば、最低生活費22万円を引いて、×30年すれば+3600万円の備えが必要ということになります。
ケースBでも6840万円ですね。これが「フリーランスは老後いくら必要なのか」で回答した「大体6000万円以上だろう」のロジックになります。フリーランスは高収入なので、それなりの生活レベルがあるものと考えています。
④フリーランスの行うべき老後対策と心構え
前項で、自分がどれくらい備えなければいけないのかは大体予測できてきたのではないでしょうか。最後に、「フリーランスとしてどう老後対策すればいいのか」を解説していきたいと思います。
具体的な対策としては
- 雇用形態が変わった、年収が変わったなどの変化があれば受給額の予測値は必ず再計算しておくこと
- 不要な支出をできるだけ減らし、家計を見直す
- NISA,iDeCoを検討する
当たり前ですが、年金受給額に変化がある場合は再計算することをお勧めします。なぜなら、不足分を前提に貯蓄や投資を始めるわけですから、それが変われば貯蓄・投資額も変化させていかねばいけません。
また不要な支出は極力減らすべきです。よく聞くフレーズですが、「使える金額を増やす」一番手っ取り早い方法が支出を減らすことです。必須と思っていたものが実は全く必要のないケースが多々あります。今一度、慎重に家計を見直しましょう。
NISA,iDeCoは、もともとは個人・フリーランス向けに国が用意した非課税の積立制度です。まだ始めていないというフリーランスは調べてみることをお勧めします。
最後に心構えについてです。
フリーランスは、収入が良いといわれていますが、老後についてしっかり焦点を当てているエージェントや業者は多くありません。
例えば正社員時代に40万円の月収の方がフリーランスで60万円になっても、それは独立成功とはいえないかもしれません。今現時点では収入が上がったように見えても長期的な視点では今よりひどい生活になるかもしれませんよ。
自分の老後資金がいくら必要か検討し、逆算して月額収入はどれくらい必要なのか考えてみてください。
それでは、皆さんのご活躍を心より祈念しております。