デジタルリスクマネジメントという言葉をご存じでしょうか。

一般的なリスクマネジメントとはインターネットを通じて、企業がデジタルを活用することで生じる、様々なリスクを管理することを指します。

デジタルリスクマネジメントは、企業だけでなく個人にも必要なものであり、フリーランスにとっても重要な概念です。

この記事では、デジタルリスクマネジメントの基礎知識から、私たちフリーランスができる実践方法について、ポイントを絞って解説します。

デジタルリスクとは?

デジタルリスクマネジメントを説明する前に、「デジタルリスクとはどのようなものか」を説明しなければなりません。

例えば、コンピューターウイルスやハッキング、なりすましやフィッシング詐欺、人的なオペレーションミス、SNSの利用における誹謗中傷など、企業や個人がデジタル技術を活用した業務において様々なデジタルリスクが挙げられます。

以下に、具体的なデジタルリスクの事例をご紹介します。

個人情報の漏洩

個人情報が含まれたメールを宛先を誤って送信してしまったり、クライアントから受け取った個人情報を適切に保管せず、移動中の紛失・盗難が発生する可能性があります。

クライアントの顧客情報を管理する業務を請け負った場合、個人情報が漏洩してしまうと、クライアントからの信頼を失い、 企業にも個人にも大きな影響を与えることになります。

データ破損・消失

データベースのバックアップをとらずにデータ削除してしまい、大切なクライアントの顧客情報や取引会社の情報を紛失してしまったり、セキュリティソフトのバージョンアップを怠ったことによりハッキングに遭い、データの改ざんや搾取などのリスクが考えられます。

また、利用するクラウドサービスによっては、パスワード解析ツールなどで社外秘情報が外部に漏れる可能性があるため、セグメントを分けて外部とのネットワークを遮断するなどセキュリティ対策が必要となります。

ソーシャルエンジニアリング

ソーシャルエンジニアリングとは、マルウェアなどを用いずに、人間の心理的な弱点をついた手法を使って、パスワードなどの情報を盗み出す手法です。

例えば、偽のクライアントからのメールによるフィッシング詐欺や、偽のウェブサイトやログインページを用意して、利用者の個人情報を入力させる手口です。

社員やプロバイダーに成りすまして電話やメールで情報を聞き出す手口などもあります。

デジタルリスクマネジメントとは?その重要性について

デジタルリスクマネジメントとは、デジタル技術を活用することで発生する様々なリスクに対して、事前に予測・評価し、適切な対策を講じることでリスクを最小限に抑える取り組みです。

フリーランスは個人で仕事を行っているため、企業と比べて情報セキュリティやリスク管理において、セキュリティ環境が脆弱な状況にあります。

フリーランスにとって、デジタルリスクマネジメントは、業務の継続という観点からも重要な要素となっており、デジタルリスクマネジメントを適切に行うことで、フリーランス自身が被るリスクを抑え、仕事の継続や信頼性の向上につながります。

フリーランスの場合、自分自身が企業であると同時に個人でもあるため、個人情報や重要な情報が漏えいした場合、フリーランスとしての信頼性を失うだけでなく、法的責任を問われることもあります。

以上のように、デジタルリスクマネジメントは、フリーランスが業務を安定的に継続するために欠かせない重要な取り組みであり、情報セキュリティやリスク管理に対する意識を高め、適切な対策を講じることが求められます。

デジタルリスクマネジメントの課題

デジタルリスクマネジメントの重要性は伝わったと思いますが、フリーランスとして活動するうえでは、デジタルリスクマネジメントには様々な課題があります。

では、具体的にどのような課題があるのか見ていきましょう。

セキュリティに関する知識不足

デジタルリスクマネジメントにおいて、フリーランス自身が情報セキュリティに関する知識やスキルを持っているかどうかは大きな問題です。
多くの場合、フリーランスは仕事の依頼や業務に追われ、効率化を求めるあまり、情報セキュリティに対する意識が希薄になってしまうことがあります。

そのため、フリーランス自身が情報セキュリティに関する知識やスキルを身につけ、情報セキュリティに関する最新の情報や脅威について常に把握しておくことが必要です。

セキュリティ対策に必要なリソースの問題

セキュリティ対策に必要なツールやシステムは高価な場合があり、それらを導入するためのコストや時間がかかることがあります。

フリーランスは企業と比べて予算が限られているため、デジタルリスクマネジメントに必要なリソースを投入することが難しい場合もあります。

しかし、セキュリティ対策を怠ることがデジタルリスクを引き起こすため、予算の限られた状況でも、できる限り効果的なセキュリティ対策を講じることが必要です。

そのため、コストパフォーマンスの良いセキュリティツールやシステムを選択したり、セキュリティに関する情報を積極的に収集し、最新の情報を把握しておくことが重要となります。

契約における課題

フリーランスは、企業と契約を結んで仕事をすることが一般的ですが、契約上の問題もデジタルリスクマネジメントの課題となります。

契約書に情報セキュリティに関する条項が明示されていない場合、リスクが発生した際の責任や費用負担などが明確にならず、トラブルが生じる可能性があります。

例えば、Webサイトを開発する場合、脆弱性やセキュリティについてどこまで対策するか、システム運用中に発生したセキュリティインシデントについて、監視体制やレポートラインは問題ないかなど、顧客とリスクマネジメントについて取り決めして、合意を得る必要があります。

そうした経緯から、フリーランスは契約書に情報セキュリティに関する条項を盛り込み、リスクに対する責任や費用負担を明確にすることが重要です。

契約において、顧客に情報セキュリティに関するリスクを説明し、双方で合意した上で作業を進めるようにしましょう。

デジタルリスクマネジメントの実践方法

最後に、フリーランスにおけるデジタルリスクマネジメントの実践方法をご紹介します。

これらは完璧なデジタルリスクマネジメントを保証するものではありませんが、個人でできる範囲としては有効な対策となります。

ツールやサービスの活用

ツールやサービスを活用することで、コストを掛けずにデジタルリスクマネジメントを実現することができます。


具体的には、以下のようなものがあります。

無料のセキュリティチェックツールを利用する

セキュリティチェックツールは無料で提供されている製品もあります。
例えば、OWASP ZAPやNiktoなど、これらのツールはWebアプリケーションの脆弱性を検出することができます。

信頼性の高いクラウドストレージサービスを利用する

クラウドストレージサービスは、クライアントとのデータの安全な保管や共有を可能にします。

例えば、Google DriveやDropboxなど、これらのサービスは無料のプランを提供しており、小規模なフリーランスの場合には十分な容量を持っています。

セキュリティ情報の提供サービスを利用する

セキュリティ関連会社のホームページでは、最新のセキュリティ情報を公開しています。
例えば、TrendMicroやMcAfeeなどの企業は、セキュリティ情報を無料で提供しています。

定期的なデータバックアップの実施

定期的なデータバックアップは、デジタルリスクマネジメントの重要な要素の1つです。

バックアップを行うことで、データの紛失や破損によるリスクを軽減することができます。


また、クラウドストレージサービスの利用や外付けのハードディスクなど、バックアップの場所を分散させることもセキュリティ対策として有効です。


バックアップには、定期的に実施することが大切です。
1日に1回、1週間に1回、または1ヶ月に1回など、頻度は業務の性質やデータの重要度に応じて調整することが望ましいです。

デジタルリスク報告や対応状況の共有

プロジェクトでセキュリティインシデントが発生しそうになった場合、デジタルリスクに関する情報を顧客と共有することが重要です。

報告内容は、セキュリティ上の脅威やその影響範囲、対応状況や対策の有効性、今後の対応方針などが含まれます。

報告を行うことで、顧客との信頼関係を構築し、リスクマネジメントにつなげることができます。


また、顧客からの報告依頼に迅速に対応できるよう、デジタルリスクに関するプロセスや手順を明確にしておくことも重要です。

万が一、セキュリティインシデントが発生した場合、報告方法や対応担当者、対応期限などが明確であれば、スピーディーな対応が可能になります。

まとめ

本記事では、フリーランスにとって重要なデジタルリスクマネジメントについて解説しました。


デジタルリスクマネジメントとは、デジタル環境において発生する様々なリスクに対し、適切に対応することです。

デジタルリスクマネジメントを行うことで、フリーランスとしての信頼性や価値を高め、顧客からの評価を上げることができるため、非常に重要な要素となります。

デジタルリスクマネジメントをしっかりと実践し、安心・安全な仕事環境を作り上げていきましょう。

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